よりよい眠りのためのヒント

今回は栄養学はお休みして、眠りについて書かせて頂きます。

ところで、私たちはどうして眠るのでしょうか?
眠りは日々溜まり続ける身体・脳・精神の疲れを取り除くためにあるのです。
中でも疲労回復に最も効果のある時間帯はAM11:00~PM2:00といわれています。
この時間のことを睡眠のゴールデンタイムといいます。

しかし、
現代人の5人に1人は不眠で悩んでいるということです。

そこで今回は不眠解消のためのヒントです。

1. 睡眠時間は人それぞれ。日中の眠気で困らなければ十分。

◇睡眠時間の長い人、短い人、季節でも変化、8時間にはこだわらない。
日中の眠気が非常に強い、また平日と比べ週末に3時間以上長く眠らないといられ ないようなら、睡眠不足。成人の場合、6~7時間が睡眠充足の目安です。

◇歳をとると必要な睡眠時間は短くなる。
実際に眠っている時間は、成人以降50歳代までは6.5~7.5時間。以降、次第に短く
なり、70歳を超えると平均6時間弱です。日中眠気がおそってこなければ不眠ではありません。

2. 刺激物を避け、寝る前には自分なりのリラックス法。

◇就床前4時間のカフェイン摂取、就床前1時間の喫煙は避ける。
カフェインの覚醒作用は摂取後30~40分後から表れ、4~5時間持続。タバコに含まれるニコチンは
交感神経を刺激し睡眠を妨げます。効果は吸入直後から数時間持続します。

3. 眠くなってから床につく、就床時刻にはこだわりすぎない。

◇眠ろうとする意気込みが頭をさえさせ、寝つきを悪くする。
いつもの入眠時刻の2~4時間前は1日で最も寝つきにくい時間帯。眠れない時は、いったん床を出て リラックスし、眠くなってからもう一度床につくと不眠を解消できることもあります。

4. 同じ時刻に毎日起床。

◇日曜に遅くまで床で過ごすと、月曜の朝がつらくなる。
起床後なるべく早く太陽の光を浴びることが、夜、速やかで快適な入眠をもたらします。長く眠っ て朝が遅いと、その夜の寝つきが遅くなり、翌朝の起床がつらくなりがちです。

5. 光の利用でよい睡眠。

◇目が覚めたら日光を取り入れ、体内時計をスイッチオン。
起床後、太陽の光を浴びてから約15~16時間後に眠気が現れます。これがないと、その夜の寝つき が約1時間遅れることがあります。

6. 規則正しい3度の食事、規則的な運動習慣。

◇朝食は心と体の目覚めに重要、夜食はごく軽く。
いつも同じ時刻に朝食を摂っていると、その1時間ほど前から消化器系の活動が活発になり、朝の
目覚めも良好に。夜食、特にタンパク質の多い食事は、睡眠の妨げとなるので、空腹で寝つけない
時は消化の良いものを少量に。

7. 眠りが浅いときは、むしろ積極的に遅寝・早起きに

◇寝床で長く過ごしすぎると熟睡感が減る。
遅寝・早起きにして就床時間を減らすと、必要なだけ床の上で過ごすため熟睡感が増します。

8. 睡眠薬代わりの寝酒は不眠のもと。

◇睡眠薬代わりの寝酒は、深い睡眠を減らし、夜中に目覚める原因となる。
寝酒は連用で慣れが生じやすく、急速に量が増え、精神的・身体的問題が起こりやすくなります。

 

監修: 日本大学医学部精神医学系主任教授 内山 真先生
出典: 睡眠障害の対応と治療ガイドライン(内山 真編 株式会社じほう 2002)